医薬品の安全対策は、過去の悲しい薬害の教訓から作られてきました。まずは代表的なサリドマイドとスモンの2つを学びましょう。
先生、薬で大きな被害が起きたことがあるって、本当なんですかぁ?
残念だけど本当なの。
その代表がサリドマイドよ。
かつて催眠鎮静剤や胃腸薬として販売されていたの。
ところが、妊娠している女性が使用したことで、生まれてくる子どもに四肢の欠損などの先天異常(サリドマイド胎芽症)が生じてしまったの。
サリドマイドには血管新生を妨げる作用があり、それが胎児の発育に影響したと考えられています。
日本では販売停止・回収の措置が遅れ、被害が拡大しました。
妊婦への影響を、さっきの単元でも聞いたね…。
これが教訓になったんだ。
そうなの。
もう1つがスモン。
これは整腸剤として使われた『キノホルム』が原因よ。
キノホルムを使用した人に、亜急性脊髄視神経症(スモン)——下半身のしびれや歩行困難、視力障害などが生じたの。
整腸剤で、そんな重い症状が…?
はい。
スモン患者の中には、症状が進行して寝たきりになる人もいました。
キノホルムは販売が停止され、これも大きな社会問題となりました。
サリドマイドとスモンの被害を受けて、医薬品の副作用情報を国が収集・評価する仕組みや、被害を救済する制度が整えられていったのよ。
つらい歴史だけど、そこから今の安全対策ができたんだね。
ちゃんと覚えとく。
確認クイズ
薬害に関する記述として正しいものはどれか。
- サリドマイドは解熱鎮痛剤で、成人男性に神経障害を引き起こした
- スモンは、整腸剤キノホルムにより亜急性脊髄視神経症を生じた薬害である
- サリドマイドによる被害は、日本では迅速な回収により生じなかった
- スモンの原因は、妊婦が使用した催眠鎮静剤である
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正解: 2. スモンは、整腸剤キノホルムにより亜急性脊髄視神経症を生じた薬害である
スモンは整腸剤キノホルムによる亜急性脊髄視神経症が正解。サリドマイドは催眠鎮静剤等で妊婦の使用により胎児に先天異常を生じ(選択肢1・4が混同)、日本では回収が遅れ被害が拡大した(選択肢3)。